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添田町の民話 徳之渕と竜神

ページID:0001595 更新日:2025年1月14日更新 印刷ページ表示

徳之渕と竜神

 大昔のこと、ある日の夕方、一人の美女が上落合の徳之渕にやって来て一夜の宿を請うた。家の人は、快く応じて手厚くもてなした。女性は、翌日の山越えのため早目に寝床についたが、夜半のこと、家の人が目をさましてふすまの隙間からふと部屋の中を見ると、大きなヘビが寝ているではないか。家の人は大変驚いたが、そっとしてそのまま朝を迎えた。
 女性は、前日と変わらない美しい姿で現れて、ていねいにお礼を述べたあと、「正体を見られたのだから一切のことを話しましょう」と語りはじめ、「私はこのあたりに徳之淵という名だたる深淵があると聞いて来たのですが、何もなくてがっかりしました。だから私は彦山を越えた山国川の蛇淵に住むことにします。日照り続きで困ったときは雨ごいにおいでなさい。必ず望みがかなうでしょう」といって去った。別に、「以後、徳之淵と呼びなさい」といって去ったという話もある。
 山国川の蛇淵には、町内からも大正時代くらいまで薬師峠をこえて雨乞い祈願に行っていた。また、深倉に爪の淵があり、またの名を蛇淵という。かんばつのときは、淵に小石を投げこんで降雨を祈って霊験があったという。
 このように、蛇淵と名がつく所は各地にあって雨乞い祈願が行われていた。