ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 添田町の神話・伝説・民話 > 添田町の伝説 平家落人伝説その1

本文

添田町の伝説 平家落人伝説その1

ページID:0001578 更新日:2025年1月14日更新 印刷ページ表示

平家落人伝説(その1)

 彦山川の野田加茂神社の前付近に、お蝶が淵と呼ばれる深い淵があった。今は道路改修工事でなくなったが記念碑が建っている。

 壇の浦の戦いで平氏が敗れた後のことである。
 野田の里に、二人の品の良い女性が訪れて来た。一人は姫でお蝶といい、一人は乳母のようであった。村人は、二人が平家の落人と知り、身を寄せる小さな家を見つけてやった。やがて、二人の家から機織りの音が聞えるようになり、ささやかながら幸せな暮しを送っていた。
 しかしながら、この暮しも長くは続かなかった。落人狩りが来るという知らせが来たのである。乳母は「私はここにとどまって、追手とやりとりして時間をかせぎます。私はここで自害する気持ですが、あなたは若いのですから、その間に逃げてください」という。そういう間にも追手はせまって来た。「早くお逃げくだされ」とせきたてられ、姫は裏山に身をかくしたが、乳母は自害して果てた。
 ひとりになった姫は途方に暮れた。住んでいた家をふり返りながら歩いて、気がついたとき、淵のそばに立っていた。姫はもう生きる力がないと、そのまま淵に身を沈めたのである。
 その後、夜になるとこの淵から、機織りの音が聞えるようになり、姫と乳母をあわれに想った村人は、淵の名を「お蝶が淵」と名づけて二人の霊をとむらった。