田の天神のはなし


 津野での話である。霜月丑様の祭りで田の天神様たちは山に帰ってくるのであるが、一柱の田の天神様の帰りが遅れた。他の田の天神様たちは「どうして遅くなったのか」とその理由をたずねた。すると遅れた田の天神様が答えるのには、「私の行った家は貧乏で、アワ餅をついていたので帰るのが遅れた」というのである。それを聞いた他の田の天神様たちは、「それはお前の祝いようが悪いからだ。来年二月に行ったときは、もっと祝ってやれ」といった。